imaginegargle’s blog

中国文明の揺籃である河南省への旅の準備とその旅路について記すブログ

河南省を往く66

 さて、前回の「河南省を往く」から帰国して三週間になろうとしているが、次の「続・河南省を往く」に向けて新しい旅程が作られつつある。

 現在確定している日程は8月16日~25日の約10日間。基本的には今回行った「河南省を往く」の落ち穂拾い的な旅になる。

 山西省運城の解塩池をもう少しぐるっと回ってみたいとか、前回は永済から渭南まで高鉄で戻ったのを、今回は風陵渡まで在来線で行き黄河とその対岸の潼関を眺めることを楽しみにしている。

 また、河南省霊宝の函谷関で見落とした函古夹辅と魏函谷関跡をみること。また、霊宝項城村の更に奥地の五畝村を訪問したい。

 

 

 次いで洛陽に入るが、今回はじっくり3泊ほどかけて周囲を回る予定である。まず5年前に行った千唐誌斎、それと古墓博物館、洛陽周王城天子駕六博物馆、白馬寺なども巡りたい。

 

 それから鞏義県の石窟寺院・杜甫生家も見ておきたい。それから開封だ。開封は同行者が初めての地なので基本的に市内の名所は回ってみたいが何しろ酷暑の候だ。体調と相談しながらの「河南省を往く」になりそうだ。

 すでに航空券も手配済みであり、あとは再度のVISA取得に新潟まで小旅行となる。またポツポツと更新しながら次の旅路への準備としたい。

 

霊宝の町を取り囲む峨々たる山脈

早朝の観光客が誰もいない龍門石窟

劉清霞博物館内で展示中の河南省内民間博物館の展覧

 

河南省を往く65

 今回の「河南省を往く」で見落としたところをリスト化する。

  1. 運城(山西省)の解塩池の全周が見える場所に行くべきであった。
  2. 運城(山西省)にあるという関帝廟
  3. 運城(山西省)の池神廟
  4. 陝県の三角山
  5. 霊宝の函古夹辅
  6. 洛陽 古墓博物館
  7. 禹州 鈞窯博物館

 こんなところか。次回の「河南省を往く」はいつ始まるか未定であるが、そう遠くない時期に再開の予定である。

河南省を往く64

 実はコロナ前の訪中、正確には訪河南省だがその経験にこりて、というのはスマホ決済がガイジンには使えなかったために街を歩いていて相当不便をさせられたために窮余の一策として「銀聯カード」の作成を試みたことがあった。

 無料で銀聯カードを作ってくれる邦銀が当時なかったので困っていたら、当時から世話になっているTrip.comが三井住友カードと連携して「Trip.com銀聯カード」というのを始めたというので早速登録したところやってきたのがこのカッコいいカード。
 ちゃんと右下には銀聯のロゴが入っている。

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 これさえあれば取り敢えず決済の手段としては使えるだろうと準備万端で次の訪中、いや訪河南省に備えたところで新型コロナウイルス感染症の渦中に・・・。

 副作用に苦しみながら皆勤でワクチンを打ち続け、一剣を磨すこと4年余り。そろそろ使ってみようかと思った矢先、三井住友カードから届いた便りが「Trip.com銀聯カードのサービスは終了します。」というあまりにも悲惨な知らせであった。推測するにコロナ禍のために世界中で人流が止まりTrip.comもユーザーの利用が激減して採算が取れない状況に陥ったのだろう。不採算部門は早めに切り捨てないとね。

 一応7月までは有効のはずだが、中国の2大決済アプリともカード番号入力の時点で撥ねられ登録不可であった。

 今日、Trip.com銀聯カードの情報を探そうと思って検索サイトからTrip.comのサイトに飛んだら「お探しのページはどこかに旅立ってしまいもうここにはいません。」というさすが旅行業者だけに洒落てるよね〜などとは絶対に思えないフザケたメッセージが出てきた。なんだったんだろうね?

 

河南省を往く63

 全く関係ないんだが、最近windowsを使用している最中に「ブブブ」というか「ザザザ」というか、そういうノイズとともに動画が一瞬とまったり、動画再生時以外も一瞬動きが止まったり、重い負荷をかけているときにはそのソフトが落ちてしまう事態が続いていた。

 タスクマネージャーで挙動を見たけど、よく分からないが一瞬なにかの「割り込み」があってそのようになっているらしいことまでは分かった。怪しそうなプロセスを順次切っていったが解決に至らない。もう覚悟を決めて15年くらい前から使っている自作ゲーム用PCだから適用外なんだがwindows11に移行することに決心した。

 なんやかやで導入はうまく行ったが、再起動後も相変わらず同じ現象が出ている。これにはほとほと困り果てた。ただ何のソフトも起動していないにもかかわらず発生するのでwindows固有の問題だと感じて割り込みの発生する可能性を考えたところ、最近実装された画面右端に立ち上がる「通知」だ。右下にベルの形したアイコンが出ているがこれをクリックしてすべての通知をOFFにしたところ現象は収まった。いや、いまのところ収まっている。

 これで、WOTで遊んでいるうちにタンクが停止して気づいたら撃破されていたという悲劇は回避される(はずだ)。

河南省を往く62

 最終日、上海のことを書くのを忘れていた。もう上海なんで河南省を往くでもないんだが、翌日は飛行機が12時発の関空行きなので、朝8時にはホテルを出たい。磁気浮上型のリニアモーターカーにも乗ってみたいで夜遊びもせずに早く寝ることにした。

 ただ、夕飯を食べるためにホテルを出て南京路を少し歩くうちにご飯食べたら少し写真撮りながら歩いてみようと気が変わった。

 ホテルは「錦江之星」チェーンに入った「東亜飯店」。ここも80年代に泊まった記憶がある。戦前からの古い歴史のあるホテルだ。中は近代的に改装されており、デパートと一緒にビルの中に入っている。

東亜飯店の入るビル

 このビルの向かいに北京ダックの「燕雲楼」が入るビルがあって、そこにするか広東料理の「新雅粤菜館」にするか迷ったが、前者に決心す。職場の同僚たちと夏休みの旅行で北京から出入りしていた頃は、夜になると「あ~、夕食どうしますかね?」などと誰かが切り出すと「う~ん、やっぱりあそこか?」「いや、あそこって・・・。」「分かってるくせに言うなよ。ダックだよダック!」などとひとしきり茶番めいた会話がありそれこそ「北京飯店」のダックから始まり、「便宜坊」だイヤ「全聚徳」だと三日三晩北京ダックを喰らったことを思い出した。上海に来たらやはりここだろう。というわけですなわち登楼。8階だかがメインの入り口で服務員が席まで案内してくれる。

 一人で宴席のような料理を喰うのは中々大変だという話は以前に書いたが、メニューが広げられるとついつい2・3品頼まないと落ち着かなくなってしまう。食べられるわけないのに、フードロスの問題もあるのに・・・。

 とりあえずダックだけでも完食しようと思った。

 

 たらふく食って外に出たが、何か外を歩くと二階建てバスが止まっている。乗務員に交渉してその場で切符を発行してもらい乗車。バンドの方を通りぐるっと回って豫園を通ってまた元の南京路に戻ってくる周回遊覧バスだ。

遊覧バス

 まあ、別にどうと言うこともない普通のバスでした。乗車中に気づいたのだが街路にまだトロリーバスの架線が張られていることだ。まだ走っているのだろうか?

 このほかに南京路には多数の客車を連結した遊覧電車が走っている。もちろん先頭のバッテリーカーが牽引する路面電車まがいのものだが運賃は10元。

 ホテルの前には上海市公安局の移動交番が店開きしている。人通りは多いが治安は良好のようである。交番車の前に直立不動の警官が二人立っている。公安の威厳を体現したようなキリッとした若者二人が警戒中だ。写真撮って良い?ってジェスチャーで聞いたら右の若者がコクッと頷いたので撮影。

警戒中の公安職員

 ポツポツ雨も降ったり止んだりの天気だったが、短時間の上海ナイトを楽しんだ。

 ホテルに戻り、「「錦江之星」チェーンって錦江飯店と関係あるのかな?」とか「錦江倶楽部ってまだあるのかな?」とか考えているうちに寝入ってしまった。

Nikon D800 AF-S Nikkor 24-85mm F3.5-4.5G

河南省を往く61

 帰国して一週間。途中に青森行きを挟んで今日に至る。今回の旅行で必要とした経費をざっと計算してみた。往復の航空運賃、中国内の航空運賃、中国の鉄道運賃で約10万円にホテル代が7万円といったところ。その他タクシー代・食費・お土産代などに6万円程かかっている。しめて23万円としておこう。

 しかし、西安陝西省なのでわざわざ行かなくてもよかったかなという気もするが、久しぶりに兵馬俑坑も見ることが出来たし何よりいささか期待外れではあったが「鴻門之会」跡地というところに行くことが出来たので良かった。内容はともあれ、俺にとっては「行った」ということが大事なのである。

相変わらず凄い兵馬俑

 それと、山西省の運城である。峨々たる中条山脈の前に塩池が広がり素晴らしい眺めを見せてくれた。気づいたのだが実はこの運城には「运城张孝机场」という地方空港があり、上海からは毎日2便中国東方航空が運航をしている。張孝とは空港所在の村の名を取っているが以前は「関公機場」と呼んでいたことがある。関公とは言うまでもなくこの運城出身と言われる関羽のことを指す。

運城北駅前に聳え立つ関羽

 今回、この運城空港を利用すれば良かったかも知れないし、次回の「河南省を往く」では使ってみたい空港の候補に入る。また、運城の関帝廟は従って全国にある関帝廟の中の総本山(?)ということになる。今回は素通りだったがまあ次回行けたら行くわ。

 今回の画像はすべてNikon D800 AF-S Nikkor 24-85mm F3.5-4.5Gで撮影。

河南省を往く60

 拙ブログも60回を数える。飽きっぽい性格だがよくぞ続いたと我ながら呆れる次第だ。

 今日は河南省開封市理事庁街を訪れた際に、理事庁街小学付近でお店を開いていたyoutuber「菊城探味」氏に紹介して頂いた民間芸術博物館を開いている張俊濤氏(汴京灯笼张)について書いてみたい。

理事庁街小学の前の店「童年炸串」(君の子ども時代の記憶を呼び覚ます)

灯籠張博物館

 中国の伝統的行事として春節から15日めの節日である元宵節(上元節)には灯籠に火を灯してその日を祝う風習がある。「上元釣灯」というやつだ。今回の訪中時にも街角にはその名残の赤いランタンが撤去されずに残っていた。元宵というのは正月初日の出を元旦と呼ぶのに対して、正月初めての満月を祝う風習なのであろう。伝統的中国社会に於いてはそれぞれの家庭で思い思いに灯籠を造り、火を灯して月の出を待ったものと思われる。

 今回紹介して頂いた灯籠張氏は開封市でこの灯籠作りを代々営んできた7代目の伝承者である。彼から頂いた名刺によれば「灯籠張第7代伝人」・「灯籠張彩灯展覧館館長」・「開封市彩灯芸術研究会秘書長」の肩書が並ぶ。

 彼の博物館に入館するとサマザマな意匠の灯籠が出迎えてくれるが、ひときわ目についたのが巨大な観音像であった。「あ、これ相国寺の。」とつぶやいたら張館長はニコニコ笑いながらさらにスイッチを入れると内部に仕込まれた灯りがついた。内側から照らされる日本のネブタのような人形なのである。さらに相国寺の観音様は千手千眼仏であるから全ての手のひらに眼をお持ちでおわす。その眼の一つ一つにランプが仕込まれ一斉に輝き出すのだ。これには本当に驚いた。

開封相国寺の千手千眼観世音菩薩立像を象ったランタン

 更に彼は様々な木彫の建具(例えば窓の枠に作られた飾り)を収集してこの博物館に展示している。その数は無慮1万点以上を数えるという。それも建て替えられるために破壊されようとしている家屋から保護してきた物と思われる。

 かように灯籠張氏は自らの使命として中国の伝統文化を保護し、展示し、これを後世に伝えることに精力を傾けている。そのために小中学生を対象にワークショップを開催したり大学に講義に行ったりと教育活動にも献身しているというわけだ。

 日本では「無形文化遺産」などと呼ぶが中国では「非物質文化遺産」と称する。この灯籠もその非物質文化遺産である。中国の街頭を歩くといろいろな料理屋の店先にこの非物質文化遺産の看板が掛かっているが、その優劣を言うものではないが美食を楽しんだ後にはこういう美しいものを蒐めた小さな場所を訪問するのも悪くないと感じた次第だ。

 灯籠張氏から彼が制作したカタログ数冊を頂いたので、内容をちょっとだけ紹介する。「今度は友達を連れて来てくれ。」と言われたのでぜひ再訪したい。


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灯籠張博物館の住所


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千手千眼観音と張氏


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ランタンの図案型紙


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収集された古家具の一部


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こういう技術が凄いと感じる

 帰国後すぐに青森市内で核燃料再処理工場建設反対の集会があったので参加してきた。宿泊したホテルのロビーに展示してあったネブタの顔をおまけに上げておく。


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